FOOD inc

Food Inc [DVD] [Import]

Food Inc [DVD] [Import]

見た。
農業やってみたいと言っている息子と見た。予備知識もあまりなく、牧歌的なDVDパッケージとブロックバスター(レンタル屋さん)で準新着くらいのところにずっとあったで、「農業やりたいなら、やはりこれをみるべきなんでは?」という軽いノリで借りた。息子は晩御飯がまだだったので、「じゃ、これ見ながら食べる?」ということで、サラダと鶏肉を持ってリビングに移動。

楽しい映画ではないことは、最初の1分くらいで分かった。2008年ドキュメンタリーフィルム

緑豊かな牧草地、サイロ、家族で農作物を作っている農家がまだあるという幻想をいだく私たちに、もうそういう世界はこの10年、20年の間に無くなってしまったということを伝える映画だ。無理やり太らされ、動けなくなった鶏が写る映像。しかも、この映像を提供してくれた農家の女性は窓のあるケージで鶏を飼育しているが、他のほとんどの農家は窓もない締め切ったところで鶏を飼育しているという事実。その農家達が食物大企業からの要請で高い設備を投入させられ、そのため巨額の借金を負っているかが説明される。彼らがその設備を投入しなければ、企業は鶏肉を定期的に買い上げる契約は一切しない。経営安定を好む農家は、設備を借金で投入した後、もう大企業のいいなりになるしかないのだ。まだ良心的な女性農家の鶏でさえ、太って動けなくなり死んでしまう鶏が何羽もいる。それが無造作にブルドーザーで集められ、捨てられる。そして今度は食肉加工工場の映像へ。工場製品のように取り扱われる鶏が次々と鶏肉になっていく。

この段階で息子は鶏肉を台所へもどし、サラダにも手がつけられなくなった。

さらに話はトウモロコシの大量生産へ。沢山できすぎて安く買いたたかれるトウモロコシ。そしてみどりの牧草地ではなく、茶色い不毛の土地で詰め込まれ、その安いトウモロコシや大豆を食べさせられる牛たちの話へと展開。牛が本来の草を食べないので、病気になりやすく、大学の畜産研究者が牛の糞や牛に穴を開け、胃の内容物とかを出したりする映像が映った。これで、農業志望の息子は、「もうだめだ、おれ、もうベッドで寝る。」とリタイア。無理もない。彼は、その日はサッカーの練習や学校行事でとても疲れていたのだ。

映画はいかに自分たちがブラックボックスの中でできた、不気味な食べ物を楽しく食べているかということをこれでもかと暴いていく。遺伝子操作された大豆。その大豆をパトロールする元警官やマリーンがいかに横暴に農家を取り締まるのか、その背後にいる大きな種苗会社。そしてブッシュもと大統領政権当時のFDAとそのロビイストの結託。ファストフードハンバーガーが1ドルで購入できるのに対し、ブロッコリーなどの野菜はそれよりも高い。コーラなどのソーダも水より安いということから、肥満、そして病気になる貧困層の困惑。また食肉現場で酷使され消費されていくメキシコからの不法移民の悲惨さ。いつも罰を受けるのは不法移民側で、それを雇った方ではないという不公平などの事実がつぎつぎと出てくる。またオーガニック産業がウォルマートと契約するあたりになると、なにかざわざわとした不安さえ見る者に起こさせるように作られている。

食べるものについて深く考えさせられる映画だ。塩、砂糖、脂肪、この3つの悪循環が病気をよぶ。生きていくために何をどう食べていくのか、ということは、自分の未来への選択をしているのと同じことだ。そしてそれは、実は自分の未来だけではなく、地球の未来への選択でもあるのだと思った。

本当はもっといろいろと考えて、なにか建設的なことをこの映画から学はなければいけないんだけれども、息子も私も「しばらく肉はいい、、、」という安易で消極的な選択をしてしまっている。

でも、肉を食べなければ、地球の飢えもなくなると何かの雑誌で読んだことがある。
肉食文化というものを考えてみるべき時期がきているような気がする。
そんな風に考えると、日本食と言うのは、とても素晴らしいものだと思う。
お肉も食べるけど、塊では食べないし、野菜中心の食事だ。


息子はこれから、本当に農業を目指すのかどうかは全くわからないけれど、
若い彼が志を抱いてそうしてくれたら、親世代の一人としてすごくうれしい。
しかし、彼でなくてもだれかが農業を将来性のある楽しいものに変えてくれたら
本当にものすごくうれしい。そういう人が沢山でてきてほしい。

食べ物や農家をもっと大事にできるような日本、世界にしたい。