ARTIST

うちの郵便ポストもかなり埋まってしまった。

雪かきをした。ついでにお向かいのジャネットおばさんのところもした。彼女は一人で住んでいる。80歳半ばくらいだ。

彼女はARTISTだ。

今ちょうど、グリニッチホスピタルのガーデンカフェというレストランで彼女の展示会をやっている。うちの大家さんで友達のデビーさんとこの月曜日に行って見てきたばかりである。彼女の絵はここに越してきたばかりの時もYWCAで展示会をやっていた。前回は息子と見に行った。その時の絵は、花の絵だった。ちょっと暗く小さくなったジョージアオキーフのようにも見えたけど、オキーフの絵をもう少し上品にして、洗練させた感じだった。内に秘めた情熱はオキーフと同じくらい熱そうな絵だった。今回は、建物の絵が多かった。スペインの建物の絵が多かった。しかし、建物と言ってもほとんど建物の壁と窓だけの絵である。そして、そのうちの2枚は、窓から外を見た景色で、近景にスイカや、ヒマワリがあり、遠景にまだ建物屋根屋根が続く、あるいは、階段が続くといった面白い構図のものもあった。実際に見ているときは白い壁と青い空のアンダルシアという絵が素敵だと思ったが、今印象に残っているのは、何故かこの窓から外を見る絵だ。自分の心とどこか共鳴するようなところがある。風景画というより心象画である。

彼女はARTISTだけあって、いつも自分というものを強く持っている感じがする。あいさつする時にも、ふとすれ違う時にも、「わたくし流で生きていくんだ」という強い意志をどこかに感じるのだ。それはまるで殺気のようなものだ。

そんな彼女から雪かきのお礼の電話がかかってきた。

「あなたの親切に感謝するわ。わたくしはもう年寄りだから、できないことが多いのよ。本当にありがとう。あなたともっと知り合いになりたいと思っているわ。このお礼に素敵な春のブーケでも届けるつもり。」そこでわたしが「いえいえ、大したことではないから、そんなことなさらなくってもいいです。それよりも、あなたの絵をみたわよ。デビーと一緒に見たの。とっても美しかった。その作品を見れただけで十分ですわ。」「あら、見てくれたの?そう、美しいでしょ。人はわたくしのことを変でおろかだというんだけどね、わたくし、自分が死んだら、作品が認められて、ゴッホのようになると思ってるの。ほら、生きている間には認められなくて、その人が死んでから時代が追いついてその作品の偉大さが理解されるというパターンなの。きっとわたくしの作品もそうなるわ。信じているの。」


こんな風に思わなくてはARTISTではない。彼女はやはり大した人だと思う。
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