小夜曲 

日本の私の小さな塾に
来てくれていた御兄弟が
お兄ちゃんが高校三年生
弟さんが高校一年生に
この春からなり、
我が家をはるばる訪ねてくれた。

バイオリンのシルバーケースをしょって
飛行機にのって
お二人で来てくれたのだ。


変わっていないのに
大きくなって!
成長されている姿を拝見して
本当にうれしかった。


4泊5日のあわただしい
旅程だったけれども
お天気にも恵まれて
満喫されたことと思う。


せっかくバイオリンを持ってきてくれたので
演奏してもらおうと思ったけれど
私と息子の2人で聴くのは
もったいないな、と思って
音楽の好きなご一家に声をかけた。


そこのおうちでは
現地のハイスクールに通うお嬢様が
ピアノも御上手なんだけど
オーケストラのために
バス―ンをなさっているので
お母様が工夫して
バス―ンとバイオリンの
アレンジ曲の譜を探してくださった。



高校生たちに
ちょっとお友達のお宅には
ピアノもあるので
そちらで弾いてもらえるかしら?
なんて気軽な感じで声をかけて
そのお宅にお邪魔した。



そのお宅には、
結局
中学生や高校生、
アメリカ人の方たちも交えて
19人のかたがが集まってくださって
急きょ小さな音楽会になった。



急なことだったから
緊張させてしまって
お二人には悪かったんだけど
そして譜もないのに
いきなりソロ演奏を
沢山してもらうはめになって
申しわけなかった。



でも
次から次へと演奏してくれて
びっくり。



アメリカ人のおばあちゃまからは
パッヘルベルのカノンのリクエストも出て
だんだんと盛り上がってきた。



ハイスクールのお嬢様のバス―ンも
即興で合わせて
すてきなジャズの小曲だった。
初めて合わせたと思えない。



今度は
お嬢様のお母様のピアノ伴奏で
シューベルトアヴェマリア
ちょうど聖金曜日だったので
ぴったりの曲だと評判になった。



最後は夜も更けて
アイネ・クライネ・ナハトムジ―クの
合奏だった。



洋館の白い壁の暖炉のある部屋で
沢山の人たちのなかに
お二人の息の合った
美しい音色が響く。


この音の豊かさはどうだ。


お二人はもう2年前から
先生には師事されていないという。
部活動中心に演奏しているそうだ。
でもこのお二人の中にある
音楽があふれ出てくるような演奏だった。



音楽は一瞬にして
イデアを感じ取ることができる
と言ったのは、
批評家だったか
哲学家だったか。



このような演奏
それは
演奏する人ももちろんだけど
この場で音楽を聴いている人も
皆で一緒に演奏を作り上げていったんだな
と思った。



演奏してくれた御兄弟
お宅を提供してくださったご一家
集まって聞いてくださった方々
本当にありがとうございました。

アイネ・クライネ・ナハトムジーク~モーツァルト名演集 [xrcd]

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