論語の心が小学生の宝物を救う話

論語物語 (講談社学術文庫)

論語物語 (講談社学術文庫)

この本を今よんでいる。
この本は日本の家のご近所の奥さんから、
夫が先月一時帰国した際に
私にと言ってくださったものだ。



彼女は
私が末息子と夫の3人で
渡米したのを知り、
家に残っている大学生の息子と娘に
(息子は今年から会社勤めになったのだが)
時々家庭の味を届けてくださるのだ。
離れていて何もできない私の代わりに
そっと気遣ってくださる彼女には
感謝しても感謝しきれない。


今年のお正月には
おせち料理の差し入れがあったと
一人で家にいた息子が感激していた。


彼女自身もすらっと細く長身で
目が夢見がちに大きく
夢二絵に出てきそうな美人であるが
彼女のお母様のお母様も大層美しい方で
そのお写真を見せていただいたことがある。
しかし、悲しいことに美人薄命で彼女のおばあさまは
早くお亡くなりになってしまい、
お母様はずいぶんさみしい思いをされたようだった。
そんな時、その大おばさまが、
お母様を慰めていらしたという話だった。
その大おばさまが湖人の
奥様だったと伺ったことがある。


そう、彼女はこの本を書いた
湖人ゆかりの方なのである。


その上、湖人が次郎物語の舞台であり、
青年運動の拠点にしていた
空林荘、浴恩館が今も残っている
浴恩館公園が
私たちの家のすぐ近所にあるのだ。
http://photozou.jp/photo/show/223426/20620418



この場所は私の息子たちが
ザリガニ捕りで大変お世話になった場所である。
末息子が首まで池につかり、
手づかみでザリガニを
捕ろうとしてるのを見てつい
「こらぁ、池からあがりなさい!」
と怒鳴ってしまった思い出の場所だ。
(彼は千と千尋の神隠しに出てくる
オクサレ様<河の神>のようだった!)



我が家の息子ばかりではなく
小学校の男子全員にとっては
セミ、カブトムシ、クワガタ、ザリガニが棲む
大変魅力的な場所だった。


ところが、何年か前から
市の方針で
水を流さなくなり、
池やそこから流れ出る小川などを
全て埋め立てる計画が浮上した。



それを憂えた彼女は
自ら箒をもって
公園を掃除し始めたのである。
それに賛同した人が徐々に集まり
月に1回市民のボランティアで
公園の清掃をすることになった。
市に公園計画見直しをしてもらう陳情のために
沢山の方の署名も集まり、
見事に埋め立て計画は見合わせになった。
たったひとりの女性の箒が
人を動かし、市を動かした。
こうしてザリガニたちは助かったのだ。




湖人が
戦争へと暴走するあの時代に
時代に抗いながら
日本の若者に伝えたかった
論語の精神が
こんな風に彼女に実っている。
http://yatsugatake.air-nifty.com/kouda/images/2009/08/26/photo.jpg
水をたたえた浴恩館公園の写真です。